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最近浜松市へ出掛ける機会が増えました。そんな折り、Yオークションに大正2年発行の「濱松市全圖」なる市内案内図が出品されたのを見つけて思わず購入してしまいました。今回は、これを元に仕事の合間を見て市内を探訪します。 浜松は、諏訪湖を源とする天竜川の河口に位置しています。海運・川運・陸運の東海道の三つの結節点として、江戸時代より織物、製材業などが盛んになります。明治22年に、東海道線が全通すると浜松の産業は飛躍的に発達します。天竜木材から木工技術の進展があり、遠州織物(遠州木綿)からは織機製造業が発達します。そんな中から、木工技術を生かした楽器産業、織機生産技術が基になった二輪・四輪製造業が勃興してきました。 △大正2年 濱松市全圖「日本楽器株式会社」 浜松の楽器産業は、明治30年、山葉寅楠が浜松に「日本楽器製造梶v(現ヤマハ)を創業したところから始まりました。しかし「ヤマハ」というのは苗字だったんですね。ヤマハから分かれた河合楽器やローランドなども浜松市に本社を置き、まさに楽器の町です。 大正11年に日本楽器製造の本社工場は中沢町へ移転しましたが、創業当時は浜松停車場近くの板屋町に工場がありました。現地にはその面影は全くなく、跡地はNTT西日本の浜松支社や東横インとなっています。「第一通り駅」の近くとなります。 △遠州鉄道 「第一通り駅」 △東横イン辺り 一方、織機の製造業は自動車産業へと発展していきます。 今や世界の「トヨタ自動車」は愛知県豊田市が発祥の地と思われがちですが、トヨタの前身・豊田自動織機の創始者・豊田佐吉は浜松市の隣の湖西市の出身地ですし、さらに軽自動車の「スズキ」も前身は鈴木式織機製作所です。ちなみに戦後はホンダ技研の本田宗一郎も輩出しています。 △豊田佐吉記念館(湖西市山口) △佐吉の生家 △トヨタ自動車の礎となったG型自動織機 こうした下地があった上に、さらに浜松にとって幸運だったのは、大正元年、「鉄道院浜松工場」が操業したことでした。それまで新橋・沼津などにあった機関車や客車、貨車などを修理する工場の移転が鉄道院で計画され、東海道線の中間点である浜松と名古屋が候補地にあがりましたが、当時の浜松町長・鶴見信平の熱心な誘致によって、浜松停車場のすぐ西に決定します。 これにより、全国から優秀な技術者が大量に集まり、その結果、浜松の機械工業が飛躍的に発達したと云われています。 △大正2年 濱松市全圖「鐡道院浜松鉄工場」 現在はJR東海の浜松工場として、新幹線の検査・修理を行っています。毎年夏には工場公開日があるそうなので見学されてはいかがですか?新幹線で東京から名古屋に向かいますと、浜松駅を過ぎてすぐ右手に見えます。 △新幹線の車窓から望むJR東海浜松工場 さて浜松駅前も都市計画によって様変わりしたようです。浜松のランドマークである「アクトタワー」がそびえ、バスターミナルが整備され、駅ビルもJR東海による商業ビル「メイワン」となっています。つい先日はビックカメラが線路高架下へ進出してきたようです。 ここに昭和初期の絵葉書があります。浜松駅から広小路通りを写した写真です。右手にあるビルは昭和4年に新築された遠州鉄道の本社屋で、遠鉄「旭駅」でもあったようです。二俣、秋葉山方面への旅客で賑わったようです。現在の浜松名鉄ホテルあたりと思われます。 △「濱松名所」遠州電鉄旭町駅及び広小路通り こんな浜松でしたが、浜松飛行場や軍需工場(ヤマハも木工技術を買われて飛行機のプロペラを製造)があった関係で戦時中、米軍に目を付けられてたびだひ空襲にあいました。とくに昭和20年6月18日の「浜松大空襲」では市内が徹底して焼きつくされて、明治・大正の街並みはほとんど残されていないようです。 そんな中、昭和5年築の「旧・浜松銀行協会」を見つけました。浜松出身の中村与資平の設計だそうです。国の登録有形文化財として現在は浜松市に移管されており、浜松出身の映画監督・木下恵介記念館として2009年秋より開館するようで改装準備中だそうです。開館のあかつきには地中海風の白壁が素晴らしいこの建物を再度訪れたいと思います。 また、中村与資平の作品は昭和3年築で、浜松市中区田町にある旧・遠州銀行本店(現静岡銀行浜松支店)も残されています。 なお、お隣の磐田市にも素敵な建物が残されています。それは「旧・赤松家」で、明治20〜30年代に建てられたものです。この屋敷を建てた赤松則良は、幕末に勝海舟とともに咸臨丸に乗って派米使節団に参加し、のちに横須賀造船所長を務めた人で、磐田原で茶園開発にも力を入れました。 現在は磐田市が管理しており、記念館となっていますのでぜひお出かけください。隣には「天宏」という日本料理屋があり、名物の天丼がいただけます。 |
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